災害があったとき、救助隊は72時間以内の救命を目指す。
間もなく到着した国境なき医師団は現地で心身の治療をする。
やがて、どこからともなくやってくる国境なき劇団は、その後しばらく続く心のケアにあたる。

国境なき劇団は、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震を契機として立ち上がった舞台芸術団体です。大阪のDIVE、仙台のARCT、熊本のSARCKの三団体により、2018年に第一回を実施した「The First Action Project」(略称:TFAP)を経て結成。上記三団体を核とし、活動に賛同・協働する日本全国の演劇人や劇場、舞台関係者などで構成される非営利団体です。

NPO法人大阪現代舞台芸術協会は、前身となる関西演劇人会議を経て、阪神淡路大震災を大きな契機とし、主に関西小劇場に属する舞台表現者たちによって1997年に設立。設立当初は、「演劇人同士のネットワークづくり」を主目的としていたが、時代が進むにつれ、より活動の幅を広げる必要性を感じ、2005年にNPO法人化する。現在は、大阪に限らず様々な地域の演劇人とネットワークを築きながら「創造環境の整備と舞台芸術の一層の社会化に寄与すること」を目的に活動している。 

https://www.ocpa-dive.com
東日本大震災からの復興を進める活動や対話の中で感じた、人々の表現力、想像力、再生力を信じ、日常の営みの中でアートが多様な価値を創造し、結果、個人が生きる力と心の豊かさを得ることが出来るという認識のもと、それらの繋ぎ手となるべく設立。既成概念にとらわれず、地域、ジャンル、立場を超えた多様な人々がアートを楽しめる、有機的なネットワーク環境を整備し、新しい縁や知をひらくことで、社会や文化に寄与することを目的とする。

http://arct.jp
平成28年熊本地震発災の1ヶ月後、熊本の演劇人有志が集いアートにより、ひとやまちの再生・復興に寄与することを目的に設立。避難所開設期間中は演劇やダンス的手法による体操、傾聴、カフェなどを実施。仮設団地では子どもたちとの表現あそびを中心に活動を展開し、落語会や演劇上演なども行う。震災を機に始まった「益城(ましき)こども劇団」の立ち上げにも関わる。被災という、日常と非日常が反転する状況下での、“非日常(演劇的虚構)”による“日常(笑顔、心の安らぎ)”の取り戻しに注目している。

https://www.facebook.com/SASHIYORI.Art/

国境なき劇団の活動

国境なき劇団は、阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震を経て2021年4月に立ち上がった非営利の舞台芸術団体です。被災地域で活動してきた団体・個人を核とし、活動に賛同・協働する日本全国の演劇人や劇場、舞台関係者などで構成されており、演劇作品を創ることを目的としたいわゆる「劇団」ではありません。
過去の災害時の経験や立場を共有し、大規模災害が発生した際に、速やかに顔を合わせ、かつ、継続的活動をしていくための全国ネットワークを形成しています。

<活動内容の紹介>

国境なき劇団では災害における2つのフェーズに対し、活動しています。
(1)大災害が発災したとき
(2)次なる災害に向けた取り組み

(1)大災害が発災したとき

《寄り添う―live together―》
有事の際に、被災地で被災者の心のケアのために活動する演劇人を「国境なき劇団」が支援します。
被災地域の要望をもとに、事前に築いたネットワークを活かし「国境なき劇団」からも人材を派遣します。

▼発災後の動き▼
・現地調査に行く
(現地で活動する方々と出会い、被災地、および、活動者が必要としているものを調査する)
(現地の演劇人や公共施設の関係者などに、過去の震災時の活動に関する資料を手渡し、心のケアとコミュニティ形成への演劇の有効性を相互に確認し、現地の次のアクションにつなげる)
 ↓
・現地の活動者と劇場と定期的に情報交換を行う
 (活動タイミングと場所、内容について意見交換を行う)
 (現地からの要望に応じて必要な人材、物、資金を提供する)
 (心のケアにあたる活動者自身のケアの重要性を伝える)
 ↓
・被災地への継続的な支援につなげる
 (変化する現地のリアルな情報をオンラインで確かめる)
 (Webサイト等で新しい情報を発信する)
 ↓
・現地の演劇人と合流し、必要に応じたサポートやワークショップなどを行う
 (トラウマやストレスを抱えた方への傾聴、身体をほぐす体操など)

(以上を繰り返す)

一定期間が過ぎた後、状況に応じて
●記憶を補い次代へつなげる想像力を助けるためのプロジェクト
●被災者からの傾聴を物語にして記録するプロジェクトなどを実施する

(2)次なる災害に向けた取り組み

過去の災害時の知見を共有し、今後起こりうる大規模災害に向け、速やかに顔を合わせ、かつ、継続的活動としていくためのネットワークを形成します。

《伝えるーarchiveー》
甚大な被害をもたらした災害に直面し、心のケアのために演劇的手法で実践してきたこれまでの事例をまとめ、被災地での活動にあたり必要な人が必要な情報を受け取れる仕組みを整えます。

《ともに考えるーworkshopー》
被災地で緊張した心と身体を解くため、実践してきた内容を体験するワークショップや、災害の状況を咀嚼しそれぞれの意見や情報を交換するための対話の場、参考となる資料の読書会などを企画します。ご相談ください。

《つながるーnetworkー》
被災地の状況に応じて速やかに顔を合わせて活動を始め、継続的活動を可能にするために、活動に賛同し協働する演劇人、劇場のネットワークを全国に拡大していきます。(「四十七士つながるプロジェクト」へ)

まる一日ミーティング(熊本)

メンバー ー 四十七士つながるプロジェクト ー

日本各地で自然災害が頻発する近年。
どこでどんな大規模災害が起きてもおかしくないことが自明のこととなりました。
被災地の状況に応じて迅速に活動を始め、活動の継続を可能にするために、協働する演劇人、劇場のネットワークを全国47都道府県に拡大していきます。

四十七士

八巻寿文|震災の前から思うところ「国境なき劇団」

2022年3月22日 国境なき劇団キックオフミーティング第1部にて
東日本大震災当時、せんだい演劇工房10-BOXの工房長だった八巻寿文より、「国境なき劇団」についてお話させていただきました。

ヤマキさんのスピーチ